警視庁、人材確保ピンチ
首都東京の治安を守る警察官。その採用活動に、警視庁が苦心している。採用試験の受験者数は、ピークだった2010年どの3分の1にまで低下。人事担当者は「このままでは質の高い治安維持活動を保つことに支障が出る恐れもある」と危惧し、総力戦で人材確保に挑んでいる。
「警察官に興味はありませんか?」。8月中旬、清瀬市で開かれた「清瀬ひまわりフェスティバル」の会場で、東村山市署員が「勧誘」を実施した。約10万本のヒマワリを目当てに訪れたカップルや親子連れらに話しかけ、パンフレットを配る。足を止めた大学3年生の女子学生は「体力面での不安が…」と戸惑った様子。地域課の女性署員(24)が「私も体力に自信はないけど、学校で少しずつ運動になれるから大丈夫」と笑顔で語りかける。斎藤直樹・地域課長は「若い世代が多い場所に出向くことが大切」と汗をぬぐった。
受験者3分の1に
警視庁の採用試験の受験者数は10年度には約3万人だったが、そのあとは右肩下がりに転じ、23年度は9700人に落ち込んだ。合格者の辞退率も4割に上る。警視庁によると、全国の警察官採用試験の受験者数も14年度の約9万7千人から23年度は4万8千人と半減しているが、警視庁の方が減少率が高い。
至急!至急!来たれ警察官の卵
「現場第一」「体力勝負」で敬遠?
こうしたことから、警視庁は採用数自体を10年度の2千人から23年度には千人以下に半減させており、採用目標人数を割り込むことはほぼないという。ただ、同庁人事第2課の担当者は「より多くの学生が受けてくれると適材適所の人材を確保で来るが、警察官に向いている人に、こちらを向いていない」と苦悩を語る。
受験者現象の原因について、担当者は「学生の地元志向が強まっている。警視庁と地元警察の両方に受かった学生は、地元を選ぶ傾向にある」と分析。さらにコロナ禍を経てテレワークができる仕事が人気になり、「現場第一の警察業務は選択肢入れてもらいづらい」と肩を落とす。
そうは言っても、人材の確保は急務。体力勝負の激務というイメージを脱却するため、「男女ともに育休や産休も取りやすい。福利厚生も整っている」とワークライフバランスを必死にアピールする。
職員にも協力を呼びかける。警視庁本庁の1回には8月「一人の職員が一人受験勧奨すれば4万人は受験するはずだ!」「至急!至急!職員減少に伴い。緊急受験勧奨活動例を発令する!」という、 危機感にあふれた文言のポスターが張られた。多くの受験生を勧誘できた職員を表彰する取り組みも展開。各署でイベントを開いたり、地元ラジオ局で採用情報を発信している。
本年度の第3回採用試験は、11月29日から申し込みを受け付ける予定。担当者は「都民の安心安全を守る仕事をしたい志を持った人に来てほしい」と強く語る。
〚出展:東京新聞 2024年9月16日(月)版〛
人材不足は警察に限ったことではなく、全ての業種において人手不足は現実に起きている。
しかし、治安維持活動に影響が出ることに関しては、日本国民の安心と安全を守るためにも一部の業務は民間へ委託することも必要に思える。
例えば、一部の業務を警備会社に委託し、警備会社において外国人採用制度を導入し、治安維持に影響が出ないようすべきである。